いちろうの第三の人生

アクセスカウンタ

zoom RSS 「承認とモチベーション」  太田肇

<<   作成日時 : 2011/10/10 19:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

著者は、組織論、人的資源管理論が専門の同志社大学の教授です。


人間の欲求に関する理論として広く世間に流布されているマズローの「欲求階層説」では、人間の欲求を5つのカテゴリーに分類しています。

@生理的欲求A安全・安定の欲求B社会的欲求C承認欲求D自己実現欲求

著者はこのなかで、他の欲求と較べて承認欲求だけが、マネジメントの理論からすっぽりと抜け落ちていると指摘します。
そして、人間の様々な欲求の背後に隠されている「承認欲求」をあげ、その重要性について述べます。

われわれの日常経験でも、仕事や活動をほめられたり認められたりするとますます楽しく(面白く)なり・・・。
単純に考えれば承認と無関係に思える「うれしさ」、それに「楽しさ」や「面白さ」も、実は承認によってささえられている場合が多いわけである。


成長にしても自己実現にしても、それを確認し、実感するためには何らかのフィードバックが必要だということである。・・・組織のなかで発揮される複雑な能力や資質、あるいは業績や成果、貢献度などは他者からのフィードバックを通して初めて「成長した」、「自己実現している」と実感できる場合が多い。

こうしてみると、他者からの承認以外のものを追求したり、承認以外の欲求に動機づけられたりしているような場合でさえも、実は背後で承認が重要な役割を果たしていることがわかる。

そして、独創性や創造性、革新性、ホスピタリティなど質の高い能力を必要とする仕事が大きな比重をしめるようになった現代の組織においては、たとえば金銭的報酬によって引き出されるような受け身のモチベーションでは通用せず、より内面的な価値に重点をおいた動機付けによって引き出される、自発的でハイレベルのモチベーションが要求されると述べ、承認がそれに大きな役割を果たすと主張します。

理論上、承認がモチベーションを引き出すプロセスは二とおりある。一つは承認によって自己効力感が高まり、それが内発的モチベーションを高めるというプロセスである。もう一つは、承認によって(努力すれば報われるという)期待が高まり、それが外発的モチベーションを向上させるというプロセスである。承認はその両方の動機付けをもたらすと考えられる。


また、承認は、正しい情報のフィードバックでなければならないと、述べています。

ここで重要なのは、いずれのプロセスにおいても、自分の能力や成果などについての正確な情報のフィードバックが前提条件になっていることである。承認がその役割を果たすからこそ効果がでるわけである。裏を返せば、不正確な情報が与えられると効果がないばかりか、逆にモチベーションを低下させたり、精神的にも行動上もさまざまな混乱を招いたりしかねないことを意味している。

成果主義について、正確な情報のフィードバックがないまま、従業員の給与や賞与をランク付けしている場合があると指摘しています。

本来、成果主義においても、モチベーション→仕事の遂行→承認→報酬→モチベーション・・・・・・・というサイクルが成り立っていなければならない。それが、成り立って初めて従業員は主体的な仕事意識、すなわち自分の仕事や報酬をコントロールできているという感覚を味わえる。


本書は、3年間にわたる5つの組織に対する実証研究のレポートです。

公益企業の正社員、中小企業の正社員、派遣会社から企業に派遣されている派遣社員、私立病院の看護師、公立病院の看護師の5つの集団における「承認」とモチベーションの関係について、それぞれ興味ある特徴が述べられています。

なかでも私には、看護師についての報告が特に興味深いものでした。

患者やその家族からのほめ言葉や感謝の声は、看護師たちに日常的な働きがいや仕事の喜びをもたらしたりする可能性はあるものの、それが積極的なモチベーションには直結してない、というのです。

ここで考えておくべき点は、看護師は職業社会学上のプロフェッショナルだということである。プロフェッショナルは一般に、その能力を専門家仲間によって評価される。そのため彼らは、(上司や医師などの)専門家仲間による承認を重視する。専門家仲間に認められてこそ自己効力感を得られるからである。

一般にプロフェッショナルの場合、サービスをする側と受ける側との間には経済学でいう「情報の非対称性」が存在する。仕事の内容が専門的であるため、サービスの受け手であるクライアントはサービスの中身を評価できないのである。そのため、患者に受けの良い看護師が患者自身に利益をもたらしているとは限らない。

とはいえ、彼らはヒューマン・サービス従業者としての一面も合わせもっていることを忘れてはならない。その面ではサービスの受け手からの承認も大切である。


上記の著者の分析、私が以前いた業界に置き換えて、「看護師」を「SE(システムエンジニア)」に替えて読むことができそうに思えます。



承認とモチベーション
同文館出版
太田 肇

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 承認とモチベーション の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
「承認とモチベーション」  太田肇 いちろうの第三の人生/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる